ドライアイ(乾性角結膜炎)について

“眼”の病気についてお話しようと思います。
まずは、簡単に “涙” がどうやってでてきているか、どうして必要なのかをお話してから、本題のドライアイ(乾性角結膜炎)についてお話します。
◎涙の循環と必要性
涙は、常に入れ替わっています。涙は、目の上の外側(耳側)にある “涙腺”で作られ、まばたきのたびに目を潤しています。そして、“涙点”という目の内側(鼻側)にある出口から、鼻の奥へ流れていきます。では、“涙液の役割は?”と言うと、
1.角膜、結膜の表面に潤いを与える(乾燥の防止)
2.角膜に対する酸素や栄養供給
3.感染の防止
などがあります。涙液は3層(角膜側から粘液層、涙液水層、 油層)からなり、粘液層は結膜の杯細胞や結膜上皮、角膜上皮よりムチンが分泌され直接角膜表面を覆っています。その上に涙液水層が涙腺および副涙腺から分泌され、最外層の油層は眼瞼縁のマイボーム腺より分泌されています。このようにして角膜の表面は常に潤っているわけです。
症状
初めは、結膜や角膜に炎症が起こり、角膜炎や結膜炎と似た症状が現れます。涙が不足した状態が続くと、結膜炎と角膜炎が長期間続く事になり、角膜表面が広い範囲で黒ずんで完全に透明度を失ったり、感染により多量の目ヤニが目の全体を覆ったりします。また、一度 角膜が傷つくと涙が少ないために治りにくく、傷が深くなり角膜に穴が開く事もあります。つまり、慢性化したドライアイの症状をまとめると、
・ねっとりとした黄色い目ヤニ
・白目の部分や結膜の充血
・角膜表面(眼の表面)が白く濁ったり、反対に黒ずんだりする
・角膜表面に血管が伸びている
・角膜表面の輝きがなくなる
・下まぶたと眼の隙間に溜まるはずの涙がない
となります。以上のような症状が見られたら特に注意が必要です。
ちなみに人の場合、よく耳にするドライアイは、パソコン等でまばたきの回数が減少し、眼に違和感がある状態のことを言います。人間も動物も、常にまばたきをする事で、角膜の表面を常に涙で湿し、角膜を乾燥から守っています。
(動物は、まばたきをしているにも関わらず、ドライアイになると言う事なので、とても厄介な病気なんですよ。)
原因
不明な点も多いのですが、いくつかの原因が考えられています。
一番多い原因と考えられているのが、免疫介在性疾患です。少し難しそうな名前ですが、簡単に言うと、突然の免疫異常により自分の涙腺細胞を自分自身で破壊し、涙を産生する事が出来なくなるという事です。ワンちゃんの場合、最も多いと言われています。
その他の原因として挙げられるものは、全身性疾患や神経の疾患、長期間の眼瞼や角膜の炎症などがあります。全身性疾患として代表的なものにウイルス感染症(特にジステンパーウイルス)があります。このウイルスが涙腺細胞に感染すると、涙腺の分泌機能が低下し、涙の産生が出来なくなります。亡くなってしまうケースが多い病気ですが、ジステンパーに対する治療で運よく回復した犬では、その回復にともない涙腺分泌機能が回復する場合があります。神経疾患の場合は、涙の分泌に関係する神経細胞に問題が起きたり、まばたきをするための神経(顔面神経や三叉神経)に麻痺が起きたりする事でドライアイになります。また、長期間に渡りまぶたの炎症(眼瞼炎)や結膜炎などが続くと炎症が涙腺組織にも広がり、その結果、涙腺の分泌細胞の機能低下を起こす事もあります。他にも、特定の薬物や老化、先天性異常、被爆、外科手術、外傷などによって引き起こされる場合もあります。
診断
全身的な身体検査をおこない、眼以外に疾患がないか検査します。
眼以外の疾患がないようであれば、いくつかの眼の検査を行います。眼表面に関連する眼瞼、結膜、涙液、瞬膜、角膜の観察を行います。眼瞼は全体像、睫毛異常、眼瞼縁のマイボーム腺開口部、眼瞼欠損の有無および閉瞼の状態などを観察し、瞬膜は表裏の観察、角膜は透明性、血管分布などを注意しながら観察します。
次に、Schirmerテストと呼ばれる 1分間の涙液量を検査します。Schirmerテスト法の判定は、
≦5mm/min    重度涙液減少
6-10mm/min    軽度涙液減少
11-14mm/min   涙液減少の疑い
≧15mm/min    正 常(猫では16mm/min前後で正常)
その他にも、ドライアイの診断で重要な角結膜の傷害は、通常、角膜表面の染色をおこなわないと観察できません。一般的に染色に用いられる色素として代表的なものは、フルオレセインとローズベンガルがあります。フルオレセインは角膜上皮のバリアー機能を反映し、角膜上皮欠損部位および角膜上皮欠損はみられないが結合の弱い細胞間隙を染色します。一方、ローズベンガルはムチンの分布に反映しており、ムチンでコートされていない角結膜上皮の細胞を染色します。
以上のような検査を行い、最終的に診断していきます。
治療
治療の基本は涙の三つの構成成分である、油層、涙液水層、粘液層を正常に近づけることです。しかし、上記のように原因が1つとは限らないので、状態に応じて数種類の点眼薬を併用し、一生治療を継続しなければならない場合も多くあります。

①涙液の補充のための人工涙液。人工涙液は長期に、頻回に使用することが多いため、防腐剤の入っていないものを使用します。
②粘液層異常の治療ですが、現在、ムチンの同じ成分の点眼薬はありません。ヒアルロン酸ナトリウムは、ムチンと似た性質を持っており、粘稠性があり水分を保持することが可能です。(①と②の目薬はどのようなタイプのドライアイにも使用する事が可能です。)
③涙液油層異常の治療として、抗生物質の点眼、内服、眼瞼の温熱療法(眼瞼を暖める)、洗浄、外科的切除などを行います。
④涙液水層における栄養の補給。涙には、タンパク質やビタミンAなど、目の表面の細胞に必要な成分が含まれていますが、特に症状が重い場合、これらの成分が目の表面に供給されず、傷がなかなか治りません。そこで、動物自身の血液から点眼液を調整し、涙の成分を補う治療を行います。⑤涙腺の刺激。ドライアイの中には免疫の異常により、涙腺を攻撃し破壊して起こるものがあります。この場合、サイクロスポリン点眼液が有効になります。サイクロスポリンは免疫反応を抑制する事で涙腺破壊を抑制してくれます。また、同時に涙腺刺激作用を持っており、涙液量を増加させることができます。しかしながら、完全に涙腺が機能していないタイプのドライアイでは有効ではありません。⑥その他には、二次的な感染予防のために抗生物質点眼、ステロイド剤点眼、アセチルシステイン点眼などを併用する場合があります。
常日頃から、ワンちゃんやネコちゃんを良く見て、眼に潤いが少ないようであれば、かかりつけの獣医さんに相談しましょう。


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