ノミについてのお話
1.ノミの種類
ノミには、犬ノミ・猫ノミ・ネズミノミ・人ノミなど色々な種類がいます。その中でも、ワンちゃんやネコちゃんに害(寄生)を及ぼすのは、犬ノミや猫ノミです。この犬ノミ・猫ノミは、ワンちゃん・ネコちゃん両方に寄生します。“犬ノミはイヌ、猫ノミはネコへ”ではありません。さらに驚くことにワンちゃんやネコちゃんに寄生しているノミの殆どは、猫ノミだということです。例えば、同居や接触する機会のあるネコ(ワン)ちゃんにノミが寄生している=ワン(ネコ)ちゃんにも移る可能性が高いということです。
2.ノミのライフサイクル
まず、成虫のノミが動物に飛び移ります。寄生して24時間以内に雌ノミは吸血・交配します。そして、48時間以内には産卵します。寄生から産卵まで約2日。とても短い期間で行われます。
では、一度にどのくらい産卵するか?ですが、驚くことに1日20~50個もの卵を毎日生みます(気温が13℃あればどの時期でも可能です)。ノミの寿命は、長いもので120日生存し産卵することが可能だといわれていますから、多い場合は1匹のノミから2000~6000個の卵が産み落とされる計算になります。その卵は動物の毛には付かず、床などの環境中に落ちていきます。それが、繭→(2~7日間で)幼虫→(7~18日間で)さなぎ→(約10日間で)成虫の順に大きくなり、また動物に寄生します。一般的に、ノミのライフサイクルの中で成虫は5%しかいないと言われていますから、成虫のノミ1匹見つけたら、成虫になるであろう予備軍は約20倍いると考えて下さい。
3.ノミの害(動物編)
ノミの害というと、一般的には痒みや刺されたところの局所の炎症です。しかし、それ以外にも、多くの害が報告されています。
ノミの被害で一番重要なのは、ノミアレルギーです。これは、ノミが吸血するときに動物の皮膚の中に唾液を注入します。その唾液に対して過剰に免疫反応がおこり、ひどい皮膚炎をおこしてしまうのがノミアレルギーです(みんながそうなるとは限りません)。背中や尻尾の付け根周辺に発疹・脱毛・激しい痒みが現れます。我慢できない痒みにより、口で噛んだり後足で引っ掻きます。こうして皮膚の表面に細かな傷をたくさん作り、そこから細菌感染を起こし更に悪化させてしまいます。また、子犬や子猫に一度に多くのノミが寄生して吸血すると貧血を起こす可能性があります。また、成虫になったノミをワンちゃんやネコちゃんが食べてしまうと瓜実条虫(お腹の中の寄生虫)が寄生することがあります。これは、糞便や肛門付近に米粒大のウニョウニョした虫として発見されます。時には下痢や嘔吐の症状を表すこともあります。他にも、猫ヘモバルトネラ症といわれる貧血を起こす病気を発症する可能性があります。
色々なタイプのノミ・ダニ駆除薬があります。かかりつけの動物病院さんで相談、処方してもらって下さい。予防が重要ですよ!
(市販のノミ・ダニ駆除薬もありますが、動物病院で取り扱うものより効果が落ちます。同じ使うのであれば、しっかり予防できるものにしたいですね)