オゾン療法について

 オゾン療法は酸化療法*の1つで、医学領域においては、ヨーロッパ(特にドイツなど)を中心に世界各地で広く行われています。オゾンによる殺菌作用をはじめ、末梢組織への血流および酸素供給増加、細胞の代謝を活性化し免疫系を調節するなどの作用を利用して、末梢動脈循環不全、椎間板疾患、歯科領域、眼科疾患、疼痛管理、難治性の感染創、褥創、老人性疾患、腫瘍の補助療法、感染症などの幅広い分野で応用されています。オゾンには強力な酸化作用があることが分かっています。特に、肺に対する吸入毒性には注意が必要ですが、その性質を理解し、適切な濃度や投与量を治療に用いることで生体の抗酸化作用を引き出し、各種疾患において大変有用な治療効果が得られています。
 獣医学領域では、残念なことにあまり臨床応用されておらず、いくつかの報告があるだけでしたが、ここ数年で多くの報告があがっています。例えば、難治性慢性皮膚疾患(アトピー性皮膚疾患、膿皮症、脂漏症など)や椎間板ヘルニア、腫瘍の補助療法などで効果が確認されています。
☆酸化療法*とは・・・
 体に適度の酸化ストレスを加えることで免疫機能や抗酸化機能を活性化させる医療です。逆に、体にとって有害な活性酸素を積極的に除去する医療は抗酸化療法と呼ばれています。日本では抗酸化療法はよく耳にしますが、ヨーロッパなどでは酸化療法も盛んに行われています。酸化療法にはオゾン療法は以外にも、高圧酸素療法(高気圧の酸素カプセルの中で全身に酸素を供給する)やH2O2点滴療法、DMSO点滴療法などがあります。
 自然界では、酸素に紫外線が当たる事で、また、植物や海草の光合成によってオゾンが作られます。落雷など超高圧電流によっても酸素分子が分離して大量にオゾンができます。ですので、オゾンは高山や海岸、森林の中にあり、大気の殺菌や脱臭などの自浄作用の役割を果たしています。海水浴や森林浴が良いとされる理由は、自然界で生成されるオゾンを含んだ空気を吸い込むことで、オゾンによる酸化療法の効果により健康が促進されると考えられるからです。
◎酸化とは?
“対象とする物質が電子を失う化学反応の事。具体的には、物質に酸素が化合する反応、あるいは、物質が水素を奪われる反応”
 上記のように酸化という言語を説明しようとすると難解な表現になります。しかし、実際は、身近で起きている現象なのです。例えば、金属を長い時間放置していると錆びる。ドライフードを開封して時間が経つと風味や味が落ちる。こういった現象が “酸化” です。このように酸化反応は、よく目にしたり体感したりする現象で、これは “物” にだけ起こる反応ではなく、“ヒトや動物の体内”でも常に起きています。つまり、酸化反応が起こる事で、ヒトや動物は “さび付いた状態” になり、一度、酸化が起き始めるとどんどん連鎖反応で進んでしまいます。その結果、体内の機能がさび付き正常に働かなくなる事で糖尿病や高脂血症、肝機能障害など生活習慣病といわれる問題が起きます。
◎オゾンガスの特徴
 3つの酸素から成るオゾン(O3)は非常に不安定で、安定した酸素分子(O2)になろうと1つの酸素を放出しようとする性質があります。放出された酸素原子は、周囲のあらゆる物質と結合して酸化反応を起こします。この酸化力が消毒・殺菌・脱臭といった分野で効果を発揮し、生成後は化学変化で自然に酸素の形に戻ります。
◎オゾン療法の仕組みと効果
 オゾン療法はオゾンガスが直接 体に作用するわけではなく、オゾンガスから出来る産生物が免疫細胞である単球及びリンパ球を増加させたり、インターフェロンやサイトカイン系を活性化させます。オゾンが体内に入ると直ちに初期反応を起こす“活性酸素種”と後期反応を起こす“過酸化脂質代謝産物”が働き始めます。“活性酸素種”は活性酸素除去反応=治癒の促進作用や酸素運搬能の改善(末梢での代謝促進や老廃物の溜め込みを少なくします)を起こし、“過酸化脂質代謝産物”は免疫機能促進効果=抗酸化力の増加や代謝促進、血管拡張を起こします。
①全身の疲れや筋肉の疲れを改善し、細胞の若返りを促進
 ダメージを受けた筋肉の修復や乳酸の蓄積を減少させ、筋肉の老化防止
 活性酸素を減少させ細胞の老化を防ぎ、各臓器と内分泌機能の代謝亢進
②体質の改善
 インターフェロンの産生を促し免疫機能とデトックス機能の活性化
 (免疫機能の活性化に伴う抗腫瘍効果の含む)
 インターフェロン等の産生による抗ウイルス作用効果
③血液循環の改善
 特に末梢の血液循環を改善する事による細胞の修復効果
 関節など局所の血流を改善し、消炎や鎮痛効果
 血液の流れの改善(サラサラの血液に)
④抗アレルギー作用
 アトピー性皮膚炎や気管支喘息、リウマチ
⑤慢性疾患
 慢性皮膚疾患、慢性腎不全など
 医療面以外にもオゾン療法を行なうことにより、血液やリンパ液が浄化され活力が回復、活性酸素が除去されることでストレスの軽減、新陳代謝の活発化による若返り=アンチエイジング効果も期待されています。細胞を活性化して自己治癒力を高める治療なので、ほとんどの病気や予防効果も期待できます。
◎オゾン療法の種類
 前回も少し書きましたがオゾン療法の種類は、オゾン大量自家血液療法(MAH、major AHT)、オゾンガス経腸法(RIS)、オゾンガス皮下注射法(SCI)、少量自家血液療法(Minor AHT)、オゾン水、オゾン化オリーブ油などがあります。
①オゾン大量自家血液療法(MAH、major AHT)
 各種難病に対し、最も安定した治療効果が期待できます。
 採血し、その血液とオゾンガスを混合し、静脈から体内に戻す。
②オゾンガス経腸法(RIS)
 オゾンガスを肛門から注入します。ストレスが少なく、短時間で実施できます。
 静脈の血管が細くて、MAHができない場合にも有効です。
③オゾンガス皮下注射法(SCI)
 疼痛に対して著効を示します。
 痛みのある部位に、オゾンガスを皮下注射します。
④少量自家血液療法(Minor AHT)
 非特異的免疫増強療法で、アレルギーや自己免疫疾患に有効です。
 少量の血液にオゾンガスを混合し、振盪させ溶血した血液を皮下注射します。
⑤オゾン水
 抗細菌、真菌、ウイルスの不活化。皮膚や粘膜、創傷の洗浄に使用します。
⑥オゾン化オリーブ油
 抗炎症、治癒促進作用など皮膚疾患に有効です。
☆様々な方法がありますが、個々の症状や性格、状態に合わせた方法を選択します。
ご希望の方は御来院下さい。
また、詳しい情報や費用、適応症などがお知りになりたい方はメールやお電話にてお問合せ下さい。


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