ネコちゃんのワクチンについて
一般的に『猫のワクチン=混合ワクチン』です。この『混合ワクチン』の中に、数種の弱らせたり殺した病原体が入っています。これを注射することにより免疫を作り、病原体の侵入を阻止したり、感染を受けた場合でも症状を軽くすることが可能になります。(当院では、3種または5種ワクチンを取り扱っています)。
3種または5種ワクチンについて…
猫ウィルス性鼻気管炎・猫カリシウィルス感染症・猫汎白血球減少症を含んでいるものが3種ワクチンで、これに猫白血病・猫クラミジア感染症を合わせたものが5種ワクチンと呼ばれています。
初めて予防する場合(若齢でも成猫であっても)、1ヶ月間隔で2回接種して免疫を完成させます。得られた免疫は約1年間効果が持続しますが、時間がたつと次第に効果が落ちていくため、免疫の状態を維持するために年に1回の追加接種は必要となります(これをブースター効果と言います)。新生仔であれば、通常は、生後2カ月目(約8~9週)と3カ月目(12~13週)に1回ずつ計2回接種し、翌年からは年に1回ずつ接種する事が理想的です。
では、3種と5種のどちらを接種するか?ですが、これは個々の生活環により選択していきます。基本的に室内で生活するネコちゃんであれば3種混合ワクチン(猫ウィルス性鼻気管炎・猫カリシウィルス感染症・猫汎白血球減少症)を接種します。室外または室内と外を行き来するネコちゃんには、猫白血病・クラミジア感染症の入った5種ワクチンを接種します。ただし、5種混合ワクチンの場合、猫白血病に感染してないかどうか院内の検査キッドにより確認してからの接種となります(感染しているとワクチン接種しても意味がないためです)。どちらのワクチンを打つにしても、副作用(発熱、元気・食欲の低下、嘔吐など)が出ることがあるので、家族の方と相談した上で選択し接種します。当院では、動物への負担や副作用などを考慮して、3種ワクチンの接種をお奨めしています。
上記の病気以外にも、猫の場合、ワクチンで予防できない難病、猫伝染性腹膜炎(FIP)や猫エイズ(FIV)といった病気が蔓延している所もあるため、屋内のみでの飼育をお奨めしています。(’08年7月より猫エイズウイルス感染症に対するワクチンが接種可能になりました。ただし、当院では現在のところ性急な導入を見合わせております。)
◎猫では白血病ワクチンや不活化ワクチンを接種すると肉腫(ガン)ができることがあると言われてきましたが、ワクチンに限らず何の注射でも肉腫になる可能性あり、発生頻度にも差はないようです。