タマネギ中毒について
原 因
タマネギや長ネギ、ニンニク、ニラなどに含まれる有機チオ硫酸化合物という酸化作用をもつ毒物成分により中毒症状が起こります。これら化合物の有毒成分は加熱処理しても残っています。ネギ類を使用して調理したものには必ず含まれていると思って下さい。
***どのくらいの量で中毒を起こすの?***
中毒を起こす量は、ものにより様々な情報があります。少ないものでは、犬の体重1kg当たり15~20gでタマネギ中毒を起こすという記載があります。他には、体重10kgの犬で中毒症状を起こすには600~800gのタマネギを食べないと中毒を起こさないというデータもあります。しかしながら、上記の量に到底 満たない量でも中毒を起こす例もあるので“このくらいだと大丈夫”と自己判断するのは危険です。
症 状
有毒化合物により赤血球が破壊されて急性の貧血が起こります。軽度の貧血から命に関わる重度の貧血まで状態は様々です。この貧血により、元気・食欲の低下や嘔吐・下痢、動くことを嫌ったりします。また、赤いおしっこをすることもあります。症状は食べてすぐではなく、1日~数日後に出ることが多いようです。
*** どうやって貧血になるか? ***
赤血球に含まれるヘモグロビンという赤い色素を酸化させ、赤血球内にハインツ小体という病変を作ります。このハインツ小体を持つ赤血球は脾臓や細網内皮系という組織で正常な赤血球と認識されないので壊されたり、血管の中を流れている間に破裂(溶血)したりします。これにより、急速に赤血球の数が減少して貧血を起こします。また、壊れた赤血球から出たヘモグロビンが尿に出されるため、赤または赤褐色の尿(ヘモグロビン尿)をすることになります。さらに、ヘモグロビンは黄疸の黄色い色素の原料でもあるので、後に黄疸がみられることもあります。
治療方法
家庭で食べてしまった時(直後)であれば、すぐに吐かせて体外に出すことが必要です。ただし、色々な方法で吐かせることが可能ですが、まずはかかり付けの動物病院に相談してください。吐かせる物によっては、それで中毒を起こすことがあるので注意して下さい。
その他の治療としては、点滴あるいは、貧血が重度の場合は輸血が必要になります。タマネギの有毒作用(酸化作用)を中和する目的でビタミン剤(ビタミンC、E)を併用することもあります。
予防方法
ネギ類の入ったものを食べさせないように、届かない所に置くようにしてください。